ローム決算のいちばんの話題は、立て直しの途中での上方修正です。ロームはSiCのパワー半導体で知られる京都の会社で、前の期は1,584億円の最終赤字でした。立て直しの途中で予想を上げた中身を、決算短信とFact Bookの数字だけで分けて見ます。株価の予想はしません。

何が起きた:ロームが通期予想を上方修正
ロームは11月5日15時30分、中間期の決算と、通期の業績予想の修正を同時に発表しました。売上の予想は5,100億円から5,500億円に、営業利益は300億円から500億円に上がっています。5月の予想を変えるのは、今期これが初めてです。
会社が挙げた理由は3つです。データセンター投資によるサーバー・ストレージ向けの需要、工場の自動化(FA)向けの回復、電動車(xEV)向けの底堅さ。加えて、値上げとコスト削減が想定より進んだと説明しています。

数字(一次情報):営業利益は2.3倍、SiCはまだ赤字
中間期の売上は2,795億円(+14.4%)、営業利益は175億円(+128.5%)でした。増益の理由として、会社は売上の増加と、前の期の減損で減価償却費が減ったことを挙げています。
SiCは「半導体素子」の部門に入ります。短信にはSiCだけの売上と利益が載っていないため、この記事ではSiCが黒字かどうかは言えません。会社の説明は「SiCのパワーデバイスは、電動車向けとサーバー向けが堅調」までです。

AIサーバー向けは+28%、ただ主役は自動車
Fact Bookの市場別の売上で、サーバーを含む「コンピュータ&ストレージ」は中間期に384億円で、前年同期の299億円から+28%でした。今期の予想は806億円(+36%)で、5つの市場で伸びがいちばん大きい数字です。
一方で、売上の約47%は自動車向けです。AIサーバー向けは伸び率が目立つものの、会社全体の売上の約15%にとどまります。

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市場で挙がる見方:下期に325億円は届くか
この記事の時点では、発表後の株価の反応も、市場の見方の報道もまだ出ていません。代わりに、会社の数字から引き算で分かる「見る点」を2つ並べます。
見る点1:下期は売上が減っても利益は倍の計算
通期の予想から中間期の実績を引くと、下期は売上2,705億円・営業利益325億円です。上期より売上は少ないのに、利益は約1.9倍。営業利益率は6.3%から12.0%に上がる計算になります。
しかも四半期で見ると、7〜9月の営業利益は79億円で、4〜6月の96億円より減っていました。下期に利益率を2倍にできるかは、値上げとコスト削減の効き方しだいです。前の期の減損で減価償却費が減った分は、すでに上期から効いています。
見る点2:単体の1,164億円の配当は連結の利益ではない
同じ日に、子会社2社からの受取配当金1,164億円と、貸倒引当金の戻し712億円を個別決算で計上したという開示も出ました。筆者は短信とこの開示を読み比べて、数字の大きさに一瞬目を疑いました。ただ、どちらも連結では消えるため、連結の業績予想には入っていないと会社が書いています。
値動きの理由は、ひとつに決められません。このブログは売買を勧めません。終値が出たら、下の「追記・訂正」に足します。
次に見る日:2月の第3四半期の決算
次の答え合わせは、2027年2月ごろの第3四半期(10〜12月)の決算です。日付はまだ会社から出ていません。見るのは、下期の営業利益325億円に対して10〜12月でどこまで進んだかと、半導体素子の赤字が縮み続けているかです。
ほかの会社の決算日と、速報を出す予定は、決算カレンダーにまとめています。
AIインフラ・半導体の決算日と速報の予定を1枚で
このブログで読む3本
ロームの数字を、技術の側から読むための3本です。SiCが何に効くのかが分かると、半導体素子の部門の赤字が縮む意味も見えてきます。
SiC・GaN・Siの違い。パワー半導体の材料を比べる
パワー半導体とは。AIデータセンターで効く場所
800VDC給電とは。NVIDIAのパートナーにロームの名前





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