3行でわかる要点
何が起きたか:AMD決算(7〜9月期)は、売上134億ドル(前年同期比 +45%)で過去最高でした。データセンター部門は85億ドルで、前年の約2倍(+97%)です。
なぜ注目か:新しいAI向けGPU「MI450」が投入され、ラックごと売る「Helios(ヘリオス)」でAnthropic・OpenAIなど5社がAIを動かし始めました。10〜12月期の売上の会社予想は約170億ドルです。
NVIDIA一強は?:規模ではまだ崩れていません。NVIDIAのデータセンター売上(890億ドル)はAMDの約10倍です。ただ、前の四半期からの伸びはAMDが上回り始めました。
情報の時点:2026年11月5日 9時(日本時間)。決算は11月3日(米国)の発表文、株価は11月4日(米国)の終値
11月18日の朝(日本時間)にはNVIDIAの決算が出ます。その前に「AMDはNVIDIAに追いつくのか」を、2社の発表文の数字だけで比べておきたくて、筆者はこの記事を書きました。株価の予想はしません。
この記事の位置:AIインフラ速報解説 > GPU・CPU > AMDの7〜9月期の決算
関わる技術
AI向けGPU(Instinct)
サーバーのCPU(EPYC)
ラック(Helios)
NVIDIAとの比較
クラウドの設備投資
何が起きた:AMDの売上が過去最高の134億ドル
AMDは11月3日(米国)の取引終了後に、7〜9月期の決算を発表しました。売上は133.8億ドル。会社予想の上限を上回り、過去最高です。データセンター部門の売上は85.5億ドルと、前年同期の43.4億ドルから約2倍になりました。
伸びの理由として、会社はサーバーのCPU「EPYC」の強い需要と、AI向けGPU「Instinct MI450」シリーズの投入を挙げています。MI450と第6世代のEPYCを1つのラックにまとめた「Helios」では、Anthropic・Meta・Microsoft・OpenAI・Oracleの5社が、すでにAIのモデルを動かしていると発表しました。
1枚のチップではなく、ラックごと売るのはNVIDIAと同じ形です。GPUを何十枚もつないで1台のように動かす仕組みは、下の記事で図にしています。
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数字(一次情報):データセンターは前年の約2倍
データセンター部門は売上の約64%を占め、会社の稼ぎ頭になりました。部門の営業利益も28.8億ドルで、前年同期の10.7億ドルから2.7倍です。
| 部門 |
2026年7〜9月期の売上 |
前年同期比 |
中身 |
| データセンター | 85.5億ドル | +97% | AI向けGPU(Instinct)・サーバーのCPU(EPYC) |
| クライアント | 29.5億ドル | +7% | パソコンのCPU(Ryzen) |
| 組み込み | 11.1億ドル | +29% | 産業機器・車などのチップ |
| ゲーミング | 7.7億ドル | −40% | 家庭用ゲーム機の半導体など |
| 合計 | 133.8億ドル | +45% | 1株利益(特別な項目を除く)2.09ドル |
次の3か月の見込みも強い数字でした。10〜12月期の売上の会社予想は約170億ドル(±3%)で、7〜9月期から約27%増えます。CEOのリサ・スー氏は「HeliosとVenice(次のEPYC)の量産を増やし、伸びはさらに加速する」と述べています(要旨)。
| 項目 |
2026年7〜9月期(実績) |
10〜12月期(会社予想) |
| 売上高 | 133.8億ドル | 約170億ドル(164.9億〜175.1億ドル) |
| 売上総利益率(特別な項目を除く) | 56% | 約55% |
NVIDIAと比べると:規模は約10分の1、伸びは前期比で上回る
NVIDIAのデータセンター部門の売上は、直近の5〜7月期で890億ドルでした。AMDの85.5億ドルの約10.4倍です。会社の売上に占める割合も、NVIDIAは約93%、AMDは約64%と差があります。
|
AMD |
NVIDIA |
| 直近の四半期 | 2026年7〜9月期 | 2026年5〜7月期 |
| データセンターの売上 | 85.5億ドル | 890億ドル |
| 前年同期比 | +97% | +117% |
| 前の四半期からの伸び | +27% | +18% |
| 次の四半期の会社予想(会社全体の売上) | 約170億ドル(10〜12月期) | 1,080億ドル(8〜10月期) |
筆者が2社の発表文を並べて気づいたのは、四半期の時期が2か月ずれていることです。NVIDIAは1月末で1年を締めるため、同じ「第3四半期」でも中身の月が違います。表は直近の数字どうしの比べで、同じ月の比べではない点に注意してください。
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市場で挙がる見方:NVIDIA一強は崩れるのか
答えは「まだ崩れていない」です。売上の規模は約10倍の差があり、NVIDIAの次の四半期の会社予想(1,080億ドル)は、AMDの会社全体の予想(約170億ドル)の約6倍です。
一方で、市場では「2番手が育ってきた」という見方が出ています。事前の市場予想は1株利益1.95ドル・売上131億ドルと報じられ、結果はどちらも上回りました。決算説明会では、2027年の売上を80%超伸ばす見通しを示したと報じられています。アナリストはデータセンターの強さを評価した、とも報じられました。
| 見方 |
中身 |
確かめる数字 |
| 2番手が育つ | 大手のAI企業が、NVIDIA以外のGPUのラックを使い始めた | Heliosを使う会社の数と、データセンターの前期比の伸び |
| 一強は続く | 規模は約10倍の差。NVIDIAの伸びも前年の2倍超 | 11月18日のNVIDIAの売上と会社予想 |
| 第3の道 | GoogleのTPUのような自社のAI用チップ(ASIC)も増えている | クラウド各社の設備投資の中身 |
株価は、決算の前の3営業日で約18%下げていました(10月29日の566.42ドルから11月2日の466.84ドル)。インテルの急落が引き金になった10月30日の下げを含みます。決算の翌日の11月4日の終値は488.78ドルで、前日比+1.0%でした。値動きの理由は、ひとつに決められません。このブログは売買を勧めません。
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次に見る日:11月18日7時のNVIDIA決算
比べの答え合わせは、11月18日(水)7時(日本時間)のNVIDIAの決算です。データセンターの売上が会社予想どおりに伸びるか、AMDの前期比+27%を上回るかが見どころです。
| 日時(日本時間) |
予定 |
見るところ |
| 11月18日(水)7:00 | NVIDIA 8〜10月期の決算 | データセンターの売上と前期比、次の四半期の会社予想 |
| 2月上旬(見込み) | AMD 10〜12月期の決算 | 会社予想 約170億ドルに対する結果と、Heliosの広がり |
ほかの会社の決算日と、速報を出す予定は、決算カレンダーにまとめています。
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追記・訂正
追記・訂正があれば、日時を添えてここに書きます(新しいものを上に)。
よくある質問
Q. AMDの7〜9月期の決算はどうでしたか?
A. 売上は過去最高で、AI向けGPUとサーバーのCPUを売るデータセンター部門が大きく伸びました。
Q. AMDはNVIDIAに追いついたのですか?
A. まだです。データセンターの売上の規模はNVIDIAが大きく上回っています。ただ、前の四半期からの伸びはAMDが上回りました。
Q. Helios(ヘリオス)とは何ですか?
A. AMDのAI向けGPU(MI450)とCPU(EPYC)を1つのラックにまとめた製品です。
免責事項:本記事は、技術と産業の構造を理解するための情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。社名・証券コードや、株価・業績などの数値は、記事中に示した時点の公開情報にもとづきます。投資判断は、ご自身の責任と最新の一次情報(IR・有価証券報告書など)にもとづいて行ってください。
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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、AIインフラを支える半導体・電力・冷却の仕組みを、図解でやさしく解説しています。
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