BBUとは、Battery Backup Unit(バッテリーバックアップユニット)の略で、サーバーのラックの電源の棚に挿す電池の装置です。停電の瞬間から、ラックの中の直流の線に直接電気を送り、非常用発電機が立ち上がるまでの数分をつなぎます。
部屋ごとに置く UPS(無停電電源装置)とは、置き場所も守る電気の形も違います。仕様の数字、停電のときの動き、AIの電力の急な変動をならす蓄電まで、順に見ます。
先に見たい節 UPSとの違い /停電のときの動き /AIで広がる理由
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電気の流れ(送電線からGPUへ)
受変電設備
非常用発電機
UPS(部屋ごと)
ラックの電源
BBU(ラックの中) ←ココ
GPU
停電への備え
BBU・UPS(数分) ←ココ
非常用発電機(数時間〜)
BBUとは
先に結論
BBU(バッテリーバックアップユニット)とは、サーバーのラックの電源の棚(パワーシェルフ)に挿す、リチウムイオン電池の装置 です。停電すると、ラックの中の直流の電源の線に直接電気を送り、非常用発電機が立ち上がるまでの数分をつなぎます。
UPS が電気室にまとめて置かれ、交流の電気を守るのに対し、BBU はラックごとに置かれ、ラックの中の直流の電気を守ります。電気の形を何度も変換しなくて済むので、むだが少なく、ラックの数に合わせて増やしやすいのが特長です。大手のクラウドの会社が中心になって作った、ラックの共通の設計(OCP)にも組み込まれています。
用語メモ:パワーシェルフ
ラックの中に置く電源の棚。交流の電気を直流に変える電源ユニットと、BBU を並べて挿します。
用語メモ:OCP
Open Compute Project。データセンターのサーバーやラックの設計を、共通の仕様として公開している団体。大手のクラウドの会社などが参加しています。
BBUとUPSの違い
比べる点
UPS
BBU
置き場所 電気室にまとめて置く ラックの中(電源の棚)
守る電気 交流 ラックの中の直流(48V など)
電気の変換 交流→直流→交流と変換して送る方式が多い 電池の直流を、ラックの直流の線に直接送る
増やし方 大きな装置を計画して置く ラックを増やすたびに一緒に増やせる
支える時間 数分〜十数分ほど 数分ほど
UPS は、建物の電気をまとめて守るので、大きな装置と専用の部屋が必要です。BBU は、ラックごとに小さな電池を持たせるので、ラックの数に合わせて少しずつ増やせます。どちらも、非常用発電機が立ち上がるまでの短い時間をつなぐのが役目です。
たとえるなら
UPS は「マンション全体の非常用電源」、BBU は「各部屋に置いた充電式の非常用ライト」です。マンションの電源は大きく頼もしいですが、部屋ごとのライトなら、部屋を増やすたびに足せて、配線の途中で電気をむだにしません。
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停電のときBBUはどう動くか
1. ふだん:電源ユニットが電気を送り、BBUは充電
ふだんは、ラックの電源ユニットが交流を直流に変えてサーバーに送ります。BBU は満充電の状態で待っています。
2. 停電の瞬間:BBUが直流の線に電気を送る
電源ユニットへの電気が止まると、BBU が電池の電気を、ラックの直流の線にすぐ送ります。サーバーは止まりません。
3. 数分後:非常用発電機に引き継ぐ
非常用発電機が立ち上がり、電源ユニットに電気が戻ると、BBU は電気を送るのをやめ、また充電に戻ります。
Open Compute Project(OCP)のラックの仕様(Open Rack V3)では、ラックの電源の線(バスバー)は48Vです。BBU の棚には1台3kWの BBU を6台挿し、棚全体で最大18kWを240秒(4分)送る設計になっています。6台のうち1台は予備の「5+1」。電池はリチウムイオン電池で、半導体メーカーの Analog Devices(アナログ・デバイセズ)の参考設計も、1台3kW・4分としています。
筆者が OCP の仕様書を読んで目を止めたのは、BBU の棚そのものが N+1 の冗長構成になっていたことです。部屋の UPS で使ってきた「予備を1台足す」考え方が、ラックの中の電池にまで入っているということです。
電源の設計者の目では、BBU で最初に見たいのは容量より切り替わりの間です。電源ユニットの出力が止まってから BBU が電気を送り始めるまでに、線の電圧がどこまで下がるか。OCP の棚の仕様は、この切り替えの間も線の電圧を46Vより上に保つよう求めています。受ける側の電源が動ける電圧の下限に余裕を残す、という電源設計の基本が、そのまま数字になっています。
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なぜ、電池をラックの中に置くのか
1. 変換のむだが少ない
UPS の多くは、交流を直流に変えて電池にため、また交流に戻して送ります。BBU は、電池の直流をラックの直流の線にそのまま送るので、変換の回数が減ります。
2. ラックと一緒に増やせる
ラックを増やすたびに BBU も一緒に増えるので、大きな UPS を前もって用意する必要がありません。
3. 故障の影響が小さい
1つの BBU が故障しても、影響はそのラックだけで済みます。
4. 電気室を小さくできる
大きな UPS と電池の部屋が小さくて済むので、建物の中の場所をサーバーに回せます。
注意: BBU を使うかどうかは、データセンターの設計の考え方によります。UPS と BBU を組み合わせる設計もあります。また、リチウムイオン電池を多く置く場合は、火災への備えも大切です。
AIの電力の急な変動をならす
AIの学習では、何千ものGPUが同じ計算を足並みをそろえて行います。そのため、計算と通信が切り替わるたびに、データセンター全体の電力が一斉に上がったり下がったりします。この急な変動は、送電網にも負担をかけます。
NVIDIA は、GB300 NVL72 の電源ユニットに、GPU 1個あたり65ジュールのエネルギーをためる部品(キャパシタ)を組み込み、GPU の電力が下がったときにためて、上がったときに出すことで、変動をならしたと説明しています。Megatron という大きなモデルの学習で、送電網から見たピークの電力を30%減らしたとしています。
30%
GB300 NVL72 の蓄電つきの電源の棚で、Megatron の学習のとき送電網から見たピークの電力を減らした割合
出典:NVIDIA Technical Blog(2025年7月28日)
このように、ラックの中に電気をためる部品は、停電への備え(BBU)だけでなく、ふだんの電力の変動をならす役目も持つようになっています。短い変動は反応の速いキャパシタ、停電の数分は電池、と時間の長さに合わせて使い分けます。
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BBUを支える企業
電源・BBU
台達電子(デルタ電子) (2308.TW):サーバーの電源ユニット・パワーシェルフ・BBU
光宝科技(LITEON) (2301.TW):サーバーの電源。NVIDIA の GB300 の蓄電つきの電源で協力
Vertiv (VRT):データセンターの電源・UPS
電池と部品
Analog Devices (ADI):BBU の電池の管理や変換の半導体
BBU は、電池のセル、電池を管理する回路、充電と放電の変換回路、制御のソフトを組み合わせた装置です。電池だけでなく、パワーエレクトロニクスの技術が品質を決めます。
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BBUを知ると、何が見えてくるか
あなたにとっての意味
仕事で関わる方へ: 設備・電気・サーバーのどの仕事でも、停電への備えが「電気室」から「ラックの中」にも広がっていると知っておくと、ラックの設計や保守の話が読みやすくなります。
投資家の方へ: AIのラックの電力が大きくなるほど、電源ユニットや BBU のような、ラックの中の電源の部品の価値は上がります。台湾の電源メーカーの動きは、その流れを映しています。
学生・就活中の方へ: BBU は、電池(化学)・変換回路(パワーエレクトロニクス)・制御(ソフト)が交わる装置です。電気電子の学生にとって、身近な電池の技術がデータセンターにつながる例になります。
よくある誤解
誤解1:BBUがあれば非常用発電機はいらない
BBU が支えられるのは数分です。長い停電には発電機が要ります。
誤解2:BBUとUPSは同じもの
どちらも電池で短い時間をつなぎますが、UPS は電気室にまとめて置き、BBU はラックごとに置きます。
誤解3:ラックの中の蓄電は、停電のためだけ
AIでは、ふだんの電力の急な変動をならすための蓄電も、ラックの電源に組み込まれています。
まとめ
BBU は、ラックの電源の棚に挿すリチウムイオン電池の装置
停電の瞬間からラックの直流の線に電気を送り、発電機までの数分をつなぐ
UPS と比べて、変換のむだが少なく、ラックと一緒に増やしやすい
OCP のラックの仕様では、48V の線に、3kW の BBU 6台(うち1台は予備)で最大18kWを4分
AIでは、電力の急な変動をならす蓄電もラックに組み込まれている(NVIDIA:ピーク30%減)
よくある質問
Q. BBUとは何ですか?
A. バッテリーバックアップユニットの略で、サーバーのラックの電源の棚に挿す電池です。停電の瞬間からラックに電気を送ります。
Q. BBUとUPSの違いは?
A. UPS は電気室にまとめて置き交流を守り、BBU はラックごとに置いてラックの中の直流を守ります。
Q. BBUは何分くらい動きますか?
A. 数分です。OCP のラックの仕様では、BBU の棚が最大18kWを240秒(4分)送る設計です。
Q. なぜAIのデータセンターでBBUが広がるのですか?
A. ラックの電力が大きくなり、変換のむだを減らし、ラックの数に合わせて増やせる電源が求められているためです。
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メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、AIインフラを支える半導体・電力・冷却の仕組みを、図解でやさしく解説しています。
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