決算のニュースで、日本マイクロニクスと日本電子材料が並んで出てくる。アドバンテストの名前も近くにある。どれも「半導体の検査」の会社と紹介されますが、作っている物はまったく違います。
半導体検査装置の関連銘柄は、チップを試す順に並べると整理できます。テスターが電気の信号を作り、プローブカードがチップに触れ、プローバーがウェーハを運ぶ。切り分けたあとはソケットとハンドラが受け持ちます。
この記事は、その順番で上場している会社を並べ、各社の決算短信で規模を確かめました。株価や売買の判断は書きません。
先に一覧で見たい方は 工程ごとの一覧/会社の規模/見るときの注意
半導体検査装置の関連銘柄の一覧
半導体検査装置の関連銘柄は、テスターのアドバンテスト(6857)、プローブカードの日本マイクロニクス(6871)と日本電子材料(6855)、プローバーの東京精密(7729)、ソケットの山一電機(6941)、テスト受託のテラプローブ(6627)が中心です。海外にはTeradyne、FormFactor、Technoprobeがいます。
表は電気で確かめる「テスト」の会社です。ウェーハの傷や寸法を光で見る「欠陥検査・計測」は別の仲間なので、後ろの節で分けて書きます。
半導体の検査はどこで行うか
電気のテストは2回あります。ウェーハのまま行う「ウェーハテスト」と、パッケージに包んだあとの「最終テスト」です。使う道具が違うので、関わる会社も分かれます。
テスターは両方で使います。ここがアドバンテストとTeradyneの持ち場です。プローブカードとソケットは、チップの形が変わるたびに作り直す道具。そのため装置の会社とは売上の動き方が違います。
ウェハーテストは切る前に何を確かめているのか

テスター:アドバンテストとTeradyne
テスターは、チップに電気の信号を入れて、返ってきた答えが正しいかを判定する装置です。AI向けのGPUやHBMのように回路が大きいチップほど、試す項目が増えて時間がかかります。
アドバンテストの2026年3月期の売上高は1兆1,286億円で、前の期より44.7%増えました。営業利益は4,991億円です。2026年10月28日の中間決算(4〜9月)では、売上高が8,452億円で前の年の同じ時期より60.5%増え、2027年3月期の売上高の予想を1兆7,140億円から1兆8,630億円に引き上げました。決算短信は、SoCテストシステムが伸びた主な理由を「AI関連SoC半導体の生産数量の増加と複雑化の進展」と書いています。
米国のTeradyneは、2025年の売上高が31.9億ドルでした。2026年7〜9月期の売上高は13.06億ドルで、前の年の同じ時期の7.69億ドルから約70%増えました。そのうち半導体テストの事業が10.72億ドルです。10〜12月期の売上高は12.5億〜13.5億ドルの見通しです。
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プローブカード:日本マイクロニクス・日本電子材料・海外2社
プローブカードは、ウェーハの上のチップの端子に細い針を当て、テスターとつなぐ板です。チップの設計ごとに専用に作るので、新しいチップが増えるほど注文が出ます。
日本マイクロニクスの決算短信には、伸びた理由として「生成AI関連半導体の市場拡大を背景として、メモリ向けプローブカードの需要が堅調」とあります。日本電子材料は、2027年3月期の第1四半期の売上高が96億円で、前の年の同じ時期より77.3%増えました。
Technoprobeの社長は、売上のおよそ38%がAI関連の用途になったと決算の発表で述べています。筆者が3社の資料を読み比べると、どこも「AI」と「メモリ」を伸びの理由に挙げていました。
プローブカードの仕組みと3つの種類
プローバー:東京エレクトロンと東京精密
プローバーは、ウェーハを1枚ずつ運び、プローブカードの針とチップの端子の位置を合わせる装置です。針が数千本あっても、全部がずれずに当たらないとテストになりません。
日本では東京エレクトロンと東京精密がプローバーを作っています。東京エレクトロンは2021年に300mmウェーハ用の新しいプローバー「Prexa」を発表しました。東京精密はプローバーのほか、ウェーハを切るダイシングや削る研削の装置も手がけ、2026年3月期の売上高は1,668億円です。
どちらの会社も、プローバーだけの売上は公表していません。そのため、この記事ではプローバーの売上の大きさで2社を比べません。
プローバーとテスター・プローブカードの違い
ソケット・ハンドラ・バーンイン
パッケージに包んだあとの最終テストでは、チップをソケットという台に差してテスターにつなぎます。運ぶのはハンドラ。出荷の前には、熱と電圧をかけて早く壊れる品をふるい落とす「バーンイン」も行います。
売上高は全社の数字です。ソケットやバーンインだけの売上ではありません。山一電機とエンプラスはコネクタや樹脂部品も作っているので、半導体の検査の比重は会社ごとに違います。
電源の品質保証の仕事では、出荷の試験に通った品が、使われ方の違いで早く壊れる型がよく知られています。バーンインは、その「早く壊れる品」を出荷の前に先に壊しておく工程です。AIのチップは1個の値段が高い。パッケージにHBMを何個も載せるので、不良を後で見つけるほど損が大きくなります。検査の会社の伸びは、この「後で見つかるほど高くつく」構造から説明できる、というのがこの記事の読み方です。
テスト受託:テラプローブとKYEC
テストの装置を自社で持たず、検査そのものを請け負う会社もあります。日本のテラプローブは、ウェーハテストと最終テストを受託する会社です。
テラプローブの2025年12月期の売上高は417億円、営業利益は89億円でした。親会社は台湾の後工程の受託会社、力成科技(PTI)で、2023年12月末の時点で議決権の60.68%を持っています。通期の業績予想は出さず、次の四半期の見通しだけを公表する会社です。
台湾のKYEC(京元電子)もテスト受託の大手です。この記事では、会社の資料で数字を確かめられなかったので、役割だけを書きます。
テラプローブは何の会社か。テスト受託とHBM
欠陥検査・計測は別の仲間
「半導体の検査装置」と検索すると、レーザーテックやKLAも出てきます。こちらは電気を流さず、光や電子のビームでウェーハやマスクの傷・寸法のずれを見る装置です。前工程の途中で使います。
電気のテストと光の検査は、同じ「検査」でも工程も装置も違います。株のニュースで並べて語られても、片方の注文が増えればもう片方も増える、という関係にはなりません。
検査の関連銘柄の規模を並べる
日本の上場会社を、直近の通期の売上高(連結・実績)で並べました。決算の月が会社ごとに違うので、同じ時期の比較ではありません。
アドバンテストだけが桁違いに大きく、ほかは数百億円から千億円台です。売上高が数百億円の会社は、AI向けの注文が少し動くだけで業績の見え方が大きく変わります。
東京エレクトロンはプローバーを作っていますが、会社全体の売上の大半は前工程の装置です。この表には入れていません。
検査の関連企業を3層で整理
検査に関わる会社は、装置を作る会社、チップごとに作り直す消耗品の会社、検査を請け負う会社の3つに分けられます。
上流の装置は工場の投資で、中流の道具はチップの種類の数で、下流の受託は検査の量で売上が決まります。同じ「検査の銘柄」でも、売上が増える条件が層ごとに違うのです。
検査の関連銘柄を見るときの注意
この記事で並べた会社には、小型の銘柄が多く含まれます。日本電子材料・テラプローブ・山一電機などは売上高が数百億円で、株価の値動きが大きくなりやすい点に注意が必要です。
シェアは書かない、と筆者が決めたのは迷った末です。日本マイクロニクスの記事の題名には「メモリ用プローブカード世界シェア1位」とありますが、今回、会社の決算短信と決算説明の資料の中では、その順位の根拠を見つけられませんでした。
よくある質問
この記事で並べた検査の会社を、半導体の産業全体の中で位置づけたい方に。本書(ダイヤモンド社)は、半導体産業の構造と関連企業を製造工程から整理した本で、IDM・ファブレス・ファウンドリー・OSATの関係から、工程ごとの装置・材料の代表的メーカーまでを取り上げ、世界の半導体トップ企業38社の解説の章もあります。





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