データセンター電源の関連銘柄|800VDC・パワー半導体・BBU・UPSをNVIDIAのパートナー一覧から整理

データセンター電源の関連銘柄を示すアイキャッチ。ラックの電源ユニットと銅のバスバーの写真 電力・電源
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データセンター電源の関連銘柄は、パワー半導体のローム(6963)とルネサス(6723)、配電と電源システムの三菱電機(6503)と富士電機(6504)、ラックの中の蓄電池(BBU)のパナソニック(6752)が日本の中心です。海外ではInfineon・Delta・Vertivなどが同じ層にいます。

この記事は、NVIDIAが次の給電方式「800VDC」のパートナーとして公表した20社超の一覧と、各社の発表を突き合わせて、ラックの中と建物の中の電気を担う会社を並べました。変電所や送電線の側の会社は、別の記事にまとめています。

先に見たい方は 層ごとの一覧/NVIDIAの一覧に載った日本企業/見るときの注意

この記事の位置:電力・電源 > 建物とラックの中の電気 > 電源の関連銘柄
電気の流れ(Grid-to-Chip)
系統・送電→受変電→UPS・配電 ←ココ→ラックの電源 ←ココ→GPUの手前の電源 ←ココ
この記事で並べる層
パワー半導体 電源ユニット 蓄電(BBU) UPS・配電
一言でいうと:受変電より内側、ラックとGPUまでの電気を担う会社を並べる

データセンター電源の関連銘柄の一覧

データセンター電源の関連銘柄を層で分けると、電気を切り替える「パワー半導体」、電圧を変える「電源ユニット」、停電に備える「蓄電」、建物の中に配る「UPS・配電」の4つになります。

層 日本の会社(証券コード) 海外の会社
パワー半導体(SiC・GaN)ローム(6963)・ルネサスエレクトロニクス(6723)Infineon(ドイツ)・Navitas(NVTS)・onsemi(ON)・STMicro・TI
電源ユニット・基板の上の電源TDK(6762)Delta(2308・台湾)・Lite-On(2301・台湾)・Flex(FLEX)
蓄電(BBU)パナソニック ホールディングス(6752)Infineon(BBUの設計の参照)
UPS・配電・電源システム三菱電機(6503)・富士電機(6504)・山洋電気(6516)Vertiv(VRT)・Eaton(ETN)・Schneider・ABB

変圧器・ガス絶縁開閉装置(GIS)・電線のような受変電の会社は、この表に入れていません。同じ三菱電機・富士電機でも、この記事では800VDCの配電やUPSの角度で見ます。

このブロックの参照データ
・富士電機「事業戦略説明会 エネルギー事業」(2026年5月27日) 施設・電源システムの売上・データセンター向け
データセンター電源の関連銘柄の地図。パワー半導体・電源ユニット・BBU・UPSと配電の4層に会社を並べた図

800VDCで電源の会社に注目が集まる理由

800VDCは、データセンターの中を800ボルトの直流で配る方式です。NVIDIAが2025年5月に計画を公表し、2027年に1メガワット級のラックへの対応を始めるとしています。

今のラック 800VDC(NVIDIAの計画)
ラックの中の電圧54ボルトの直流800ボルトの直流
交流から直流に変える場所ラックの中の電源ユニット建物の外周(整流器・SST)
NVIDIAが示した効果—端から端の効率が最大5%向上、同じ太さの導体で85%多く送れる、銅を最大45%削減

電圧を上げると、同じ電力でも流れる電流が小さくなります。理屈は単純です。電流が小さければ、ケーブルは細くでき、熱で逃げる電気も減る。その代わり、高い電圧を安全に切り替えるパワー半導体と、800ボルトを48ボルトや12ボルトに下げる電源が新しく要ります。ここに部品の会社の出番があります。

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NVIDIAのパートナー一覧に載った日本企業

NVIDIAが2025年10月のブログで公表した800VDCのパートナーは20社を超えます。日本の上場会社では、ローム・ルネサス・三菱電機の3社が名前を連ねました。

NVIDIAの区分 日本の会社 載っている海外の会社(一部)
シリコン(半導体)ローム(ROHM)・ルネサス(Renesas)Infineon・Navitas・onsemi・STMicroelectronics・Texas Instruments・Analog Devices
電源の部品—Delta・LITEON・Flex・BizLink・Megmeet
データセンターの電源システム三菱電機(Mitsubishi Electric)Vertiv・Eaton・Schneider Electric・ABB・Siemens・GE Vernova

筆者が一覧と各社の発表を突き合わせて気づいたのは、富士電機・TDK・パナソニックの名前がないことです。3社ともデータセンター向けの電源の製品を出しているので、一覧に載っていないことは「関係がない」という意味ではありません。逆に、一覧に載ったことも、注文や売上が決まったことを示すものではない。この記事では、一覧は「NVIDIAと一緒に設計を進めている会社の名簿」として扱います。

電力の機器の大手、日立エナジー(Hitachi Energy)も一覧にいます。ただし日立エナジーは上場しておらず、関連する上場会社は親会社の日立製作所(6501)です。

このブロックの参照データ

パワー半導体:ロームとルネサス

パワー半導体は、電気をオン・オフして電圧や電流の形を変えるスイッチです。電源の心臓部。800VDCでは、SiC(炭化ケイ素)とGaN(窒化ガリウム)という新しい材料の素子が使われます。

ロームは、800VDCの構成を解説した資料を2025年9月時点の情報で出しています。交流を直流に変える部分にはSiC、ラックの中で電圧を下げる部分にはGaNを使う構成が最も性能が出る見込みだ、というロームの試算が載っています。ルネサスは2026年10月、800ボルトから48ボルトなどへ下げる変換に向けた650ボルトのGaN素子を発表しました。

海外ではInfineon・Navitas・onsemi・STMicroelectronics・Texas Instrumentsが同じ一覧に並びます。一覧に載った会社の数がいちばん多い層です。素子の会社どうしの競争も激しい。

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電源ユニットと、基板の上の電源

パワー半導体を組み合わせて、実際に電圧を変える箱が電源ユニットです。下げ方は一気にではありません。AIサーバーでは、ラックの棚に並ぶ電源(パワーシェルフ)から、GPUのすぐ横の小さな電源まで、何段も電圧を下げていきます。

TDKは2026年2月、重ねると最大200アンペアを流せる小型の電源モジュール「µPOL FS1525」を発表し、用途にAIサーバーとデータセンターを挙げています。パワーシェルフの大手は台湾のDeltaやLite-Onで、どちらもNVIDIAの一覧の「電源の部品」に入っています。

電源の設計者の目で見ると、800VDCで大きく変わるのは効率の数字より「変換の段数」と「熱」です。変換を1段減らせば、その段で熱になっていた電気がまるごと消える。熱が減れば、電源の中で寿命を決める部品(電解コンデンサやファン)の負担も軽くなります。だから筆者は、効率の数%より、どの段をどの会社が受け持つかを先に並べました。

このブロックの参照データ

蓄電:パナソニックのBBUとInfineon

BBU(バッテリーバックアップユニット)は、ラックの中に置く小さな蓄電池です。置き場所が近い。停電や電圧が一瞬下がったときに、建物のUPSより近い場所でサーバーを支えます。

パナソニックは2026年3月、データセンター向けの分散型の電源システムでシェア8割だと公表しました。米国の調査会社Synergy Researchの調査をもとにした同社の調べで、2025年12月の時点の数字です。2028年度には、この分野で売上8,000億円規模を目指すとしています。

半導体のInfineonは、2025年3月にBBUの設計の参照(ロードマップ)を4キロワットから12キロワットまで示しました。電池そのものではなく、電池を充電し放電させる回路の側から関わる会社です。

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UPS・配電:富士電機・三菱電機・海外勢

建物の中で電気を受け、止めずに配るのがUPS(無停電電源装置)と配電の機器です。止まれば学習も止まる。ここは重電の会社と、データセンターの設備の専業の会社が担います。

会社 主な製品・動き 時期
富士電機(6504)大容量UPS・電機盤。施設・電源システムの売上は1,313億円(2024年度)→1,440億円(2025年度)→1,660億円(2026年度の計画)。直流配電とSSTを開発中2026年5月の説明会
三菱電機(6503)米国の子会社が、800VDCの配電にも対応した設計の手本(Chip-to-Grid DSX リファレンスデザイン)を公開2026年9月
山洋電気(6516)UPS(SANUPS)—
Vertiv(VRT・米国)800VDCの整流器・直流のバスウェイ・予備電源などの製品群を2026年後半に出す予定と発表2025年5月

富士電機の資料では、データセンター向けの売上が2020年度の5.2倍、海外のデータセンター向けが8.5倍になっています。2026年度の第1四半期は、施設・電源システムが国内のデータセンター向けの大口案件の反動で減収でした。受注は増えています。

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・富士電機「2026年度 第1四半期 決算」(2026年7月30日) 施設・電源システムの減収と受注
このブロックの参照データ

データセンター電源の関連企業を3層で整理

電気が流れる順に、部品・ラックの中・建物の中の3層で並べ直します。

上流:パワー半導体・部品

  • ローム(6963):SiC・GaN
  • ルネサス(6723):GaN
  • TDK(6762):基板の上の電源
  • Infineon:SiC・GaN・BBUの設計

中流:ラックの中の電源・蓄電

  • パナソニック(6752):BBU
  • Delta(台湾):パワーシェルフ
  • Lite-On(台湾):電源ユニット

下流:建物の中のUPS・配電

  • 富士電機(6504):UPS・電機盤
  • 三菱電機(6503):800VDCの配電の設計
  • 山洋電気(6516):UPS
  • Vertiv(VRT):800VDCの製品群
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データセンター電源の関連銘柄を見るときの注意

800VDCは2027年からの計画です。まだ始まっていない。この記事を書いた2026年10月の時点では、各社とも製品の発表・設計の手本・サンプルの段階が中心で、量産と売上がどこまで立つかはまだ見えません。

一覧=売上ではない

NVIDIAのパートナーの一覧は、一緒に設計を進める会社の名簿です。注文の量や時期は書かれていません。

大企業の一部

三菱電機・富士電機・パナソニック・TDKは事業が広く、データセンターの電源は会社の一部です。会社全体の業績を見るときは、セグメントの数字で確かめてください。

数字の時点

パナソニックのシェア8割は2025年12月、富士電機の売上は2026年5月の資料の値です。次の資料で変わります。

各社のデータセンター向けの売上は、富士電機とパナソニックのほかは公表されていません。ロームやルネサスの800VDC向けの売上も、今は分からない。この記事は、その分からない部分を推測の数字で埋めないことにしました。

よくある質問

Q. 800VDCとは何ですか?

A. データセンターの中を800ボルトの直流で配る給電方式です。NVIDIAが2027年からの1メガワット級のラックに向けて計画しています。

Q. データセンター電源の日本企業は?

A. ローム・ルネサス(パワー半導体)、TDK(基板の上の電源)、パナソニック(BBU)、富士電機・三菱電機・山洋電気(UPS・配電)などです。

Q. BBUとUPSの違いは?

A. UPSは建物や電気室に置く大きな無停電電源装置で、BBUはラックの中に置く小さな蓄電池です。BBUのほうがサーバーの近くで支えます。

免責事項:本記事はデータセンターの電源と関連企業の構造を理解するための情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。業績などの数値は2026年10月24日時点の公開情報に基づき、将来の成果を保証しません。投資判断は、ご自身の責任と最新の一次情報(IR・有価証券報告書など)に基づいて行ってください。
次の一歩:電源の会社を層で並べましたが、電源が冷却や通信とどうつながるかは、AIデータセンターの5つの構成要素を1枚で見ると位置がつかめます → 【完全図解】AIデータセンターの構成と仕組み|5つの構成要素を1枚の地図で理解する
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