データセンター電源の関連銘柄は、パワー半導体のローム(6963)とルネサス(6723)、配電と電源システムの三菱電機(6503)と富士電機(6504)、ラックの中の蓄電池(BBU)のパナソニック(6752)が日本の中心です。海外ではInfineon・Delta・Vertivなどが同じ層にいます。
この記事は、NVIDIAが次の給電方式「800VDC」のパートナーとして公表した20社超の一覧と、各社の発表を突き合わせて、ラックの中と建物の中の電気を担う会社を並べました。変電所や送電線の側の会社は、別の記事にまとめています。
先に見たい方は 層ごとの一覧/NVIDIAの一覧に載った日本企業/見るときの注意
データセンター電源の関連銘柄の一覧
データセンター電源の関連銘柄を層で分けると、電気を切り替える「パワー半導体」、電圧を変える「電源ユニット」、停電に備える「蓄電」、建物の中に配る「UPS・配電」の4つになります。
変圧器・ガス絶縁開閉装置(GIS)・電線のような受変電の会社は、この表に入れていません。同じ三菱電機・富士電機でも、この記事では800VDCの配電やUPSの角度で見ます。

800VDCで電源の会社に注目が集まる理由
800VDCは、データセンターの中を800ボルトの直流で配る方式です。NVIDIAが2025年5月に計画を公表し、2027年に1メガワット級のラックへの対応を始めるとしています。
電圧を上げると、同じ電力でも流れる電流が小さくなります。理屈は単純です。電流が小さければ、ケーブルは細くでき、熱で逃げる電気も減る。その代わり、高い電圧を安全に切り替えるパワー半導体と、800ボルトを48ボルトや12ボルトに下げる電源が新しく要ります。ここに部品の会社の出番があります。
NVIDIAが800VDCに踏み切った理由と、54Vの限界
NVIDIAのパートナー一覧に載った日本企業
NVIDIAが2025年10月のブログで公表した800VDCのパートナーは20社を超えます。日本の上場会社では、ローム・ルネサス・三菱電機の3社が名前を連ねました。
筆者が一覧と各社の発表を突き合わせて気づいたのは、富士電機・TDK・パナソニックの名前がないことです。3社ともデータセンター向けの電源の製品を出しているので、一覧に載っていないことは「関係がない」という意味ではありません。逆に、一覧に載ったことも、注文や売上が決まったことを示すものではない。この記事では、一覧は「NVIDIAと一緒に設計を進めている会社の名簿」として扱います。
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電力の機器の大手、日立エナジー(Hitachi Energy)も一覧にいます。ただし日立エナジーは上場しておらず、関連する上場会社は親会社の日立製作所(6501)です。
パワー半導体:ロームとルネサス
パワー半導体は、電気をオン・オフして電圧や電流の形を変えるスイッチです。電源の心臓部。800VDCでは、SiC(炭化ケイ素)とGaN(窒化ガリウム)という新しい材料の素子が使われます。
ロームは、800VDCの構成を解説した資料を2025年9月時点の情報で出しています。交流を直流に変える部分にはSiC、ラックの中で電圧を下げる部分にはGaNを使う構成が最も性能が出る見込みだ、というロームの試算が載っています。ルネサスは2026年10月、800ボルトから48ボルトなどへ下げる変換に向けた650ボルトのGaN素子を発表しました。
海外ではInfineon・Navitas・onsemi・STMicroelectronics・Texas Instrumentsが同じ一覧に並びます。一覧に載った会社の数がいちばん多い層です。素子の会社どうしの競争も激しい。
パワー半導体とは。電気を変換するスイッチの仕組み
電源ユニットと、基板の上の電源
パワー半導体を組み合わせて、実際に電圧を変える箱が電源ユニットです。下げ方は一気にではありません。AIサーバーでは、ラックの棚に並ぶ電源(パワーシェルフ)から、GPUのすぐ横の小さな電源まで、何段も電圧を下げていきます。
TDKは2026年2月、重ねると最大200アンペアを流せる小型の電源モジュール「µPOL FS1525」を発表し、用途にAIサーバーとデータセンターを挙げています。パワーシェルフの大手は台湾のDeltaやLite-Onで、どちらもNVIDIAの一覧の「電源の部品」に入っています。
電源の設計者の目で見ると、800VDCで大きく変わるのは効率の数字より「変換の段数」と「熱」です。変換を1段減らせば、その段で熱になっていた電気がまるごと消える。熱が減れば、電源の中で寿命を決める部品(電解コンデンサやファン)の負担も軽くなります。だから筆者は、効率の数%より、どの段をどの会社が受け持つかを先に並べました。
蓄電:パナソニックのBBUとInfineon
BBU(バッテリーバックアップユニット)は、ラックの中に置く小さな蓄電池です。置き場所が近い。停電や電圧が一瞬下がったときに、建物のUPSより近い場所でサーバーを支えます。
パナソニックは2026年3月、データセンター向けの分散型の電源システムでシェア8割だと公表しました。米国の調査会社Synergy Researchの調査をもとにした同社の調べで、2025年12月の時点の数字です。2028年度には、この分野で売上8,000億円規模を目指すとしています。
半導体のInfineonは、2025年3月にBBUの設計の参照(ロードマップ)を4キロワットから12キロワットまで示しました。電池そのものではなく、電池を充電し放電させる回路の側から関わる会社です。
UPSの3つの方式と、BBU・発電機との役割分担
UPS・配電:富士電機・三菱電機・海外勢
建物の中で電気を受け、止めずに配るのがUPS(無停電電源装置)と配電の機器です。止まれば学習も止まる。ここは重電の会社と、データセンターの設備の専業の会社が担います。
富士電機の資料では、データセンター向けの売上が2020年度の5.2倍、海外のデータセンター向けが8.5倍になっています。2026年度の第1四半期は、施設・電源システムが国内のデータセンター向けの大口案件の反動で減収でした。受注は増えています。
山洋電気のファン・ポンプ・電源の三刀流
データセンター電源の関連企業を3層で整理
電気が流れる順に、部品・ラックの中・建物の中の3層で並べ直します。
受変電・変圧器・電線の日本企業の地図
データセンター電源の関連銘柄を見るときの注意
800VDCは2027年からの計画です。まだ始まっていない。この記事を書いた2026年10月の時点では、各社とも製品の発表・設計の手本・サンプルの段階が中心で、量産と売上がどこまで立つかはまだ見えません。
各社のデータセンター向けの売上は、富士電機とパナソニックのほかは公表されていません。ロームやルネサスの800VDC向けの売上も、今は分からない。この記事は、その分からない部分を推測の数字で埋めないことにしました。
よくある質問
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