ボンダー装置メーカーを比較|ボンダーの5つの種類と、K&S・ASMPT・Besi・ハンミ半導体・ヤマハ(新川)の違い

ボンダー装置メーカーの比較を示す図解。ワイヤー・TCB・ハイブリッドの3種類のボンダーが並ぶ様子 後工程
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ボンダー装置メーカーは、どの種類のボンダーに強いかで顔ぶれが分かれます。ボンダーとは、チップを基板やほかのチップに貼り付け、電気をつなぐ後工程の装置です。細い線でつなぐワイヤーボンダーは Kulicke & Soffa(キューリック・アンド・ソファ、K&S)・ASMPT・ヤマハロボティクス(旧新川)、HBMを積み上げるTCボンダーはハンミ半導体・ASMPT、銅どうしを直接つなぐハイブリッドボンダーはオランダの Besi が代表です。

AI向けのHBMと先端パッケージで伸びる種類と、スマートフォンや自動車の景気で動く種類がある。5社の基本データと、2025年度の決算で分かれた明暗を順に見ます。

先に見たい節 ボンダーの5つの種類/5社の基本データ/TCボンダー/AI向けと一般向けの明暗

あなたが今いる場所:後工程 > ダイ・ワイヤーボンディング > ボンダー装置メーカーの比較
前工程(ウェーハに回路を作る)
基板 成膜 露光 エッチング ドーピング CMP 洗浄 配線 計測
後工程(チップに切り分けて仕上げる)
ウェーハテスト バックグラインド ダイシング ボンディング ←ココ 封止 最終テスト 先端パッケージ
ボンダーは「ボンディング」の工程の装置です。薄い色の「先端パッケージ」では、チップを積み重ねたり並べたりするために、新しい種類のボンダーが使われています。

ボンダー装置メーカーの違い

先に結論

ボンダー装置メーカーは、どの種類のボンダーに強いかで顔ぶれが分かれます。細い線でつなぐワイヤーボンダーはKulicke & Soffa(K&S)・ASMPT・ヤマハロボティクス(旧新川)、HBMを積み上げるTCボンダーはハンミ半導体・ASMPT、銅どうしを直接つなぐハイブリッドボンダーはBesi、という構図です。

ワイヤーボンダーはスマートフォン・自動車・産業機器など幅広いチップ向けで、景気の波を受けやすい分野です。TCボンダーとハイブリッドボンダーはAI向けのHBMや先端パッケージで伸びています。2025年度の決算でも、AI向けの装置が伸びた会社と、一般向けの弱さが響いた会社で、明暗が分かれました。

用語メモ:ボンダー

チップを基板やほかのチップに貼り付けたり、電気をつないだりする装置の総称。ボンディング(接合)を行う装置という意味です。

用語メモ:TCB

Thermo-Compression Bonding(熱圧着)の略。チップに熱と圧力をかけて、細かいバンプ(金属の突起)を確実につなぐ方法。HBMのチップの積み重ねなどで使われます。

ワイヤー・TCB・ハイブリッドの3つの種類のボンダーに、それぞれ強い会社が並ぶ構図の概念図

ボンダーとは:5つの種類

ボンダーは、何をつなぐか、どうつなぐかで、いくつかの種類に分かれます。

種類 やること 主な使い道
ワイヤーボンダーチップのふちの電極と外側を、細い金属の線でつなぐマイコン・アナログ・メモリ・パワー半導体など幅広い
ダイボンダーチップを基板やリードフレームに貼り付けて固定するほぼすべてのパッケージ
フリップチップボンダーチップを裏返し、面に並べたバンプで基板とつなぐCPU・GPUなど、つなぐ数の多いチップ
TCボンダー熱と圧力で、細かいバンプを1個ずつ確実につなぐHBMのチップの積み重ね、先端パッケージ
ハイブリッドボンダーバンプを使わず、平らな銅どうしを直接つなぐ最先端のチップの積み重ね、次世代のHBM

上の2つは昔から使われてきた種類、下の3つはチップを高密度につなぐための新しい種類です。AI向けの需要は、主に下の3つに向かっています。

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TCボンダーとハイブリッドボンディングは何が違う?技術の違いを図で比べる

ワイヤー・ダイ・フリップチップ・TCB・ハイブリッドの5種類のボンダーで、チップのつなぎ方を並べた図

5社の基本データを並べて見る

5社は本社の国も、決算期も、売上の通貨も違うため、売上の数字をそのまま比べて順位をつけることはできません。ここでは、それぞれの最新の公表値と、得意な分野を並べます。

表を作るとき、筆者が迷ったのはヤマハロボティクスの行でした。ヤマハ発動機のロボティクス事業の一部なので、ボンダーだけの売上が公表されていません。親会社の数字を入れると、ほかの4社と並べたときに大きさを読み違えます。そこで、この行だけ売上を空けています。

会社 本社 最新の年度の売上 得意な分野
Kulicke & Soffa(KLIC)シンガポール(米国NASDAQに上場)6億5,410万ドル(2025年10月4日終了の年度)ワイヤーボンダー(ボールボンダー)
ASMPT(0522.HK)香港137億4,000万香港ドル(2025年12月期)ワイヤー・ダイボンダー、TCB、実装装置
Besi(BESI)オランダ5億9,130万ユーロ(2025年12月期)ダイアタッチ、フリップチップ、ハイブリッドボンダー
ハンミ半導体(042700.KS)韓国5,767億ウォン(2025年)HBM向けのTCボンダー
ヤマハロボティクス(ヤマハ発動機グループ、7272)日本(グループの一事業のため単独の数字なし)ワイヤー・ダイ・フリップチップボンダー、モールディング装置
シンガポール・香港・オランダ・韓国・日本の5社を、本社の場所と得意な分野で並べた比較の図

ワイヤーボンダー:K&S・ASMPT・ヤマハロボティクス

ワイヤーボンダーは、チップのふちの電極と外側を、金や銅の細いワイヤでつなぐ装置です。K&Sは、ボールボンダーを、金や銅の細いワイヤでチップの電極とパッケージのリードをつなぐ装置と説明しています。

会社 特徴
Kulicke & Soffaワイヤーボンダーの大手。ワイヤーを通す細い筒(キャピラリ)などの消耗品も手がける
ASMPT後工程の装置を幅広く手がける大手。ワイヤーボンダーも持つ
ヤマハロボティクス(旧新川)新川が長く手がけてきたワイヤーボンダーの技術を引き継ぐ。2019年にヤマハ発動機のグループに入り、2025年にヤマハロボティクスとなった

ワイヤーボンダーの需要は、スマートフォン・自動車・産業機器といった、数の多いチップの生産に左右されます。K&Sの2025年度の売上高は6億5,410万ドルでした。AI向けの先端パッケージとは違う景気の波で動く分野です。

このブロックの参照データ
・Kulicke & Soffa「Form 10-K」(2016年度) ボールボンダーの説明

TCボンダー:ハンミ半導体とASMPT

HBMは、DRAMのチップを何枚も積み重ね、チップを縦に貫く電極(TSV)と小さなバンプで上下をつなぎます。この積み重ねで、熱と圧力をかけてバンプをつなぐのがTCボンダーです。

会社 公表している内容
ハンミ半導体2025年の売上高が5,767億ウォンと、1980年の創業以来の最高。HBM向けのTCボンダーが成長をけん引
ASMPT2025年は先端パッケージの売上が5億3,210万ドル(前年比30.2%増)。TCBが過去最高の売上を記録し、ロジックとメモリの両方で地位を固めたとしている
ポイント:TCボンダーは、HBMを作るメモリメーカーの投資に直結する装置です。HBMの世代が進み、積み重ねる枚数が増えるほど、接合の精度への要求が上がり、装置の世代交代も起きやすくなります。
このブロックの参照データ
・Asia Economy(2026年2月9日) ハンミ半導体の2025年の売上
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ハイブリッドボンダー:Besiと前工程

ハイブリッドボンダーは、バンプを使わず、平らにそろえた銅どうしと絶縁膜どうしを、直接くっつける装置です。つなぐ間隔をバンプより細かくでき、次世代のHBMや最先端のチップの積み重ねで注目されています。

オランダのBesiは、2025年12月期に、ハイブリッドボンディングの採用が18社に広がり、累計の受注が150台を超えたと発表しました。大手のロジックの顧客には、Applied Materialsと協力して、30台のハイブリッドボンダーを組み込んだ統合ラインを6本設置したとしています。

会社 ハイブリッド接合・貼り合わせへの関わり
Besiチップ単位のハイブリッドボンダー。Applied Materialsと協力
Applied Materials接合の前の平坦化や洗浄など前工程の装置。Besiと統合ラインを組む
東京エレクトロンウェーハどうしを貼り合わせる装置。HBM向けのボンダー・デボンダー、3次元実装向けの永久接合ボンダーが増加と説明
注意:ハイブリッド接合では、接合する面をとても平らにそろえる前工程(CMP)と、汚れを落とす洗浄が欠かせません。そのため、後工程のボンダーの会社と、前工程の装置の会社が組む例が増えています。後工程と前工程の境目が、ここで重なりつつあります。
平らにそろえた銅のパッドどうしを直接貼り合わせるハイブリッドボンダーと、前工程の装置が組む様子の図

需要の読み方:AI向けと、一般向けで明暗

2025年度の決算を見ると、ボンダーの会社の業績は、AI向けの先端パッケージにどれだけ関わっているかで分かれました。

会社 2025年度の様子(各社の説明)
ASMPT売上高が前年比10.0%増。TCBなど先端パッケージが30.2%増
Besi売上高が前年比2.7%減。モバイル・自動車・産業向けの弱さが響いた一方、AI向けの2.5D組立てとハイブリッド接合の受注が伸びた
ハンミ半導体HBM向けのTCボンダーで、売上高が創業以来の最高

ボンダーの需要は、大きく「AI向けの先端パッケージ」と「スマートフォン・自動車・産業機器向けの一般のパッケージ」の2つの波で動きます。同じ会社の中でも、どちらの比重が大きいかで、業績の動き方が変わります。

ASMPT の2025年の決算発表を読むと、その差が1社の中ではっきり出ていました。会社全体の売上は10.0%増、先端パッケージは30.2%増、その中の TCB は約146%増。事業を細かく切るほど伸び率が大きくなります。会社全体の数字だけを見ると、AIの効き方を小さく読んでしまう、と筆者は感じました。

AI向けの先端パッケージの波と、スマートフォン・自動車向けの一般のパッケージの波の2本の需要の流れを示す図

ボンダーを取り巻く企業:装置・部材・使う側

装置メーカー

  • Kulicke & Soffa(KLIC):ワイヤーボンダー
  • ASMPT(0522.HK):ワイヤー・ダイボンダー、TCB
  • Besi(BESI):ダイアタッチ、ハイブリッドボンダー
  • ハンミ半導体(042700.KS):HBM向けTCボンダー
  • ヤマハ発動機(7272):ヤマハロボティクス(旧新川)のボンダー

部材(ワイヤ・消耗品)

  • 田中電子工業(田中貴金属グループ):金・銅・銀のボンディングワイヤ
  • Kulicke & Soffa(KLIC):キャピラリなどの消耗品

使う側

  • SK hynix(000660.KS)・Samsung Electronics(005930.KS)・Micron(MU):HBM
  • ASE(3711.TW)・Amkor(AMKR):後工程を受託する会社(OSAT)
  • TSMC(2330.TW):先端パッケージ

日本からは、ヤマハ発動機グループのヤマハロボティクスが、ワイヤーボンダーからモールディング装置まで後工程の装置を幅広く手がけています。また、ボンディングワイヤでは田中電子工業などの日本の材料メーカーが支えています。

ボンダーの会社の違いを知ると、何が見えてくるか

あなたにとっての意味
仕事で関わる方へ:工場では、同じボンディングの工程でも、製品ごとに違う会社の装置が使われています。担当する製品がどの種類のボンダーでつながれているかを知っておくと、接合の不良や条件の相談の話がしやすくなります。
投資家の方へ:ボンダーの会社は、AI向けのTCB・ハイブリッドと、一般向けのワイヤーボンダーのどちらに比重があるかで、業績の動き方が大きく違います。決算期と通貨も違うため、売上の大小より、どの需要に乗っているかで比べると位置づけがわかります。
学生・就活中の方へ:ボンダーは、精密な機械・画像による位置合わせ・熱と圧力の制御・材料の接合が交わる装置です。機械系・電気系・材料系の学生にとって、AI半導体の最前線に関われる分野です。

よくある誤解

誤解1:ボンダーは、どの会社の装置も同じようなもの

ワイヤー・ダイ・フリップチップ・TCB・ハイブリッドと種類が分かれ、強い会社も違います。同じボンダーでも、使い道と技術はまったく別物です。

誤解2:AIブームなら、ボンダーの会社はどこも好調

AI向けのTCBやハイブリッドに関わる会社は伸びた一方、スマートフォンや自動車向けの比重が大きい会社は、一般向けの弱さの影響も受けました。

誤解3:ハイブリッド接合が広がれば、ほかのボンダーは不要になる

ハイブリッド接合は最先端の積み重ねで広がっていますが、多くのチップでは今もワイヤーボンダーやフリップチップが使われます。用途ごとの使い分けが続きます。

まとめ

  • ボンダーは、ワイヤー・ダイ・フリップチップ・TCB・ハイブリッドの5種類に分かれ、強い会社が違う
  • ワイヤーボンダーはK&S・ASMPT・ヤマハロボティクス(旧新川)
  • HBM向けのTCボンダーはハンミ半導体・ASMPT、ハイブリッドボンダーはBesi
  • 2025年度はAI向けの先端パッケージに関わる会社が伸び、一般向けの比重が大きい会社は弱さも受けた
  • ハイブリッド接合では、前工程の装置メーカーと後工程のボンダーの会社が組む例が増えている

よくある質問

Q. ボンダー装置メーカーの大手はどこですか?

A. ワイヤーボンダーはK&SとASMPT、HBM向けのTCボンダーはハンミ半導体とASMPT、ハイブリッドボンダーはBesiが代表的です。

Q. TCボンダーとは何ですか?

A. チップに熱と圧力をかけて、細かい金属の突起を確実につなぐ装置です。HBMのチップを積み重ねる工程などで使われます。

Q. 新川は今どうなっていますか?

A. 2019年にヤマハ発動機のグループに入り、2025年にヤマハロボティクスとなりました。ワイヤーボンダーなどの技術を引き継いでいます。

Q. ハイブリッドボンダーとは何ですか?

A. 金属の突起を使わず、平らにそろえた銅どうしを直接くっつけてチップを積み重ねる装置です。最先端の積層で注目されています。

免責事項:本記事はボンダー装置の業界の構造を理解するための情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。業績などの数値は2026年10月22日時点の公開情報に基づき、将来の成果を保証しません。投資判断は、ご自身の責任と最新の一次情報(IR・有価証券報告書など)に基づいて行ってください。
次の一歩:ハイブリッド接合では、前工程の装置メーカーもボンダーに入ってきています。東京エレクトロンが決算でボンダーの伸びをどう説明しているかを追うと、後工程と前工程の境目の動きが見えます → 東京エレクトロンとは?何の会社か・決算はいつか・AIインフラのどこにいるか(8035)|基本データと関連記事・最新の速報
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ボンダーを含む後工程の装置の業界を、全体から知りたい方に。本書(技術評論社)の「後工程装置の市場と技術動向」の章では、後工程で使うさまざまな装置と参入メーカーの動向、ダイシング装置・ダイボンディング装置・ワイヤーボンディング装置・モールディング装置のしくみが取り上げられています。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、AIインフラを支える半導体・電力・冷却の仕組みを、図解でやさしく解説しています。

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