「BSPDNがすごいのは分かった。で、結局どの日本企業が儲かるの?」
「2nm・1.6nm競争って、TSMCやIntelの話ばかりで、日本株にどう効くのか見えない…」
そんなふうに、投資判断につながる”出口”が欲しくて困っていませんか?
この記事で分かること
- なぜBSPDNで「削る・磨く」企業が主役になるのか、その構造
- 直撃する2大本命=ディスコ(6146)とレゾナック(4004)の立ち位置
- 意外と語られない“仮貼り合わせ材料”という隠れ受益領域
- 恩恵を受ける日本企業7社を1枚のマップで整理
結論を先に言うと、BSPDNは「ウェーハを紙のように薄く削る」工程を新たに増やす技術です。つまり、これまで脇役だった「削る」「磨く」の技術を持つ日本企業に、大きな追い風が吹きます。この記事では、その構造と具体的な企業を、投資家目線で図解します。
※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。数値は各社IR・調査会社の発表に基づきますが、最新情報は必ずご確認ください。
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まず結論:BSPDNは「削る・磨く」の日本企業に追い風
この記事の結論
BSPDNは電気をチップの裏面から供給します。そのためには、トランジスタの真裏に配線を通せるよう、ウェーハを紙どころか”食品ラップ”レベルまで薄く削る必要があります。
この「削る」「磨く」「支える」という工程は、まさに日本企業が世界を握る得意分野。特に本命は次の2社です。
レゾナック(4004)
“磨く”(CMPスラリー)の巨人
なぜBSPDNで「削る工程」が増えるのか?
BSPDNの製造では、これまでのロジックチップになかった「裏面を使うための3ステップ」が追加されます。この3つが、まるごと「削る・磨く・支える」の受益ポイントです。
BSPDNで増える工程=受益ポイント
STEP 1
支える(仮貼り合わせ)
薄くする前に、割れないよう支持ウェーハを一時的に貼る
→ 接合材料メーカー
STEP 2
削る(裏面研削)
裏面を数μm(マイクロメートル)レベルまで薄く削る
→ グラインダーメーカー
STEP 3
磨く(CMPで平坦化)
削った面を鏡のように平らに磨き、配線を通す
→ CMPスラリー・パッド
用語ミニ解説:CMP
CMP(Chemical Mechanical Polishing=化学機械研磨)とは、薬液(スラリー)と研磨パッドで、ウェーハ表面をナノメートル単位で鏡のように平らに磨く技術。BSPDNでは削った裏面を平坦化するのに欠かせません。
どれだけ薄く削るの?人間スケールで実感する
BSPDNが要求する薄化の精度
数μm
ウェーハはもともと約775μm(0.7mm強)の厚み。それを数μm(マイクロメートル)まで削ります。
これは髪の毛(約80μm)の何十分の1という薄さ。食品ラップ(約10μm)よりさらに薄いレベルです。
たとえ話:ビル1棟を、床1枚に
775μmを数μmに削るのは、感覚的には「30階建てのビルを、床1枚分の厚みまで削り落とす」ようなもの。しかも割らずに、鏡のように平らに。これができる企業が世界にごくわずかしかいないからこそ、日本の”削る”技術が独占的な価値を持つのです。
※薄化の目標厚みはプロセスや用途により幅があります(数μm〜十数μm程度)。数値はイメージであり、実際の値は各社の技術により異なります。
本命①:ディスコ(6146)── “削る”の世界王者
「切る(ダイシング)・削る(グラインダー)・磨く」の3つの装置で世界トップを走る企業。特に裏面研削のグラインダーは推定70%超の世界シェアを握るとされ、まさにBSPDNの薄化工程の中核です。
BSPDNとの接点:「ウェーハを数μmまで割らずに削る」技術はディスコの独壇場。BSPDN普及=薄化工程の増加=装置と消耗品(砥石・ブレード)の需要増に直結。
強み:装置だけでなく、砥石・ブレードという消耗品でも稼ぐビジネスモデル。使うほど収益が積み上がる構造。
ディスコはすでにHBM・CoWoSでも”削る・切る”の主役です。BSPDNは、その強みが最先端ロジックにも広がるという追加の追い風。より深く知りたい方は、下の企業分析記事をどうぞ。
ディスコ詳細分析
ディスコ(6146)とは?社名の由来と、研磨・切断の技術がHBM・CoWoSで欠かせない理由 →
本命②:レゾナック(4004)── “磨く”の化学の巨人
レゾナック(4004)
CMPスラリー世界トップ級
旧・昭和電工。CMPスラリー(研磨液)で世界トップクラスのシェアを持つ化学材料の巨人です。削った面を鏡のように平坦化する「磨く」工程の心臓部を握ります。
BSPDNとの接点:裏面を削ったあとの平坦化CMPが増える=スラリー需要増。さらにBSPDN・先端パッケージは工程数そのものが増えるため、消耗品のスラリーは使われる量が構造的に増える。
強み:独自の微粒子(ナノセリア等)合成技術。先端向けの高付加価値スラリーで存在感。増産投資も継続中。
レゾナックはCMPスラリーだけでなく、先端パッケージの絶縁材料など「後工程材料の総合力」が強み。BSPDNはその複数領域に同時に効きます。詳しくは下の企業分析記事へ。
レゾナック詳細分析
レゾナック(4004)とは?AI半導体の「後工程材料」を握る化学の巨人 →
【ここが差がつく】”支える”仮貼り合わせという隠れ受益
多くの銘柄リストは「研削+CMP」で終わります。でも実は、その手前にもう一つの隠れ受益領域があります。それが「仮貼り合わせ(テンポラリーボンディング)」です。
なぜ「支える」技術が要るのか?
数μmまで削ったウェーハは、手で持てば一瞬で割れるほど脆弱です。そこで削る前に、丈夫な「支持ウェーハ」を接着剤で一時的に貼り付けて補強し、加工後にキレイに剥がします。この「貼って、削って、剥がす」の接合材料が新たな需要を生むのです。
注目:接合・仮貼り材料の担い手
この領域では東レ(3402)などが仮貼り合わせ材料を開発するほか、素材系の日本化学メーカーが強みを持ちます。地味ですが、BSPDN・3D積層の拡大でジワジワ効く“通好みの受益領域”です。銘柄リストに載りにくい分、差がつきます。
※仮貼り合わせ材料の各社シェアは開示が限られ、BSPDN向け売上比率も現時点では小さい可能性があります。あくまで構造的な受益領域としての位置づけです(要最新確認)。
恩恵を受ける日本企業マップ(7社)
「削る(装置)」「磨く・支える(材料)」「使う側」の3面で整理しました。本命2社に加え、脇を固める企業まで一望できます。
削る(装置)
- ディスコ(6146)/研削・切断 本命
- 東京精密(7729)/グラインダ・CMP装置
磨く・支える(材料)
- レゾナック(4004)/CMPスラリー 本命
- フジミインコーポレーテッド(5384)/CMPスラリー
- ニッタ(5186)/CMPパッド(合弁)
- 東レ(3402)/仮貼り合わせ材料
使う側(ユーザー)
- TSMC(2330.TW)
- Intel(INTC)
- ラピダス(非上場)
投資家目線のコツ:本命はディスコとレゾナックですが、「消耗品で稼ぐ」構造(研削の砥石、CMPのスラリー・パッド)を持つ企業は、装置が一度入れば使われ続けるため、需要が安定しやすいのが魅力です。
※各社の証券コードは記載時点のもの。ニッタのCMPパッドはニッタ・デュポン(合弁)経由。BSPDN関連の売上比率は各社で異なり、多くは全社売上の一部です。特定銘柄の推奨ではありません(要最新確認)。
立場別・この構造の”活かし方”
投資家のあなたへ
「AI半導体=NVIDIAやTSMC」で思考停止せず、その製造に不可欠な”削る・磨く”の上流まで視野を広げるのが本記事の狙いです。特にディスコ・レゾナックは、BSPDNだけでなくHBM・CoWoSでも受益する“重ね効き”銘柄。ただし株価には既に期待が織り込まれている面もあるので、割高感の判断はご自身で。
就活・学生のあなたへ
「削る・磨く・貼る」は、機械・材料・化学の専攻が直接活きる領域です。派手なGPU設計だけが半導体ではありません。むしろ日本が世界を握る”縁の下の力持ち”にこそ、専門性が評価される場所が多くあります。
技術者のあなたへ
BSPDNは前工程(CMP・配線)と後工程(薄化・貼り合わせ)の境界を溶かす技術。研削・CMP・接合の担当者は、自分の工程が最先端ロジックの性能を左右する主役になりつつあることを意識すると、仕事の意味づけが変わります。
よくある誤解を整理
誤解1:「BSPDN関連=EUVのASMLや露光装置」
露光ももちろん重要ですが、BSPDN”ならでは”の受益は薄化・研削・CMP・接合。ここは日本企業が強い領域で、露光とは別の受益ラインです。
誤解2:「装置さえ売れれば儲かる」
実は消耗品(砥石・ブレード・スラリー・パッド)こそ、使われ続けて収益が積み上がる安定収益源。装置とセットで見るのがコツです。
誤解3:「BSPDNが来れば来年すぐ業績が跳ねる」
量産の本格立ち上がりは2026〜2027年以降で、恩恵は段階的です。短期の材料視ではなく、構造的な追い風として捉えるのが現実的です。
まとめ
- BSPDNは裏面給電のためウェーハを数μmまで削る工程が必須
- 受益は「支える(接合)→削る(研削)→磨く(CMP)」の3工程
- 本命はディスコ(6146)=削る王者とレゾナック(4004)=磨く巨人
- 脇役に東京精密・フジミ・ニッタ、隠れ受益に東レ(仮貼り材料)
- ポイントは消耗品で稼ぐ構造と、HBM・CoWoSとの”重ね効き”
よくある質問(FAQ)
Q. BSPDNで一番恩恵を受ける日本企業は?
A. “削る”のディスコ(6146)と”磨く”のレゾナック(4004)が本命とされます。裏面研削とCMPスラリーという、BSPDNで需要が増える工程の中核を握るためです。
Q. なぜ「削る・磨く」が主役になるの?
A. 裏面から給電するには、ウェーハを数μmまで削って裏面に配線する必要があるからです。この薄化・平坦化工程が新たに増えるため、研削装置とCMP材料の需要が構造的に増えます。
Q. CMPスラリーの銘柄は他にもある?
A. レゾナックが世界トップ級ですが、フジミインコーポレーテッド(5384)もCMPスラリーで存在感があり、CMPパッドではニッタ(5186、ニッタ・デュポン経由)などが挙げられます。
Q. いつ頃から業績に効いてくる?
A. BSPDNの量産本格化は2026〜2027年以降のため、恩恵は段階的です。短期の材料ではなく、中長期の構造的な追い風として捉えるのが現実的です。
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