HBM4の量産が始まったばかりなのに、ニュースではもう「HBM4E」の名前が出てきます。HBM4Eとは何で、HBM4と何が違い、いつ使われるのでしょうか。
こんな疑問はありませんか?
- HBM4Eとは、どんなメモリなの?
- HBM4と比べて、何がどれくらい速くなるの?
- Samsung・SK hynix・Micronは、どこまで進んでいるの?
- HBM5やカスタムHBMとは、どうつながるの?
この記事でわかること
- HBM4Eの定義と、HBMの世代の中での位置
- HBM4との違い(速さ・帯域・容量・電力)を1枚の表で
- 3社のサンプル出荷と計画
- HBM5までのロードマップと、特注化の流れ
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HBMの世代
HBM3→HBM3E→HBM4→HBM4E ←ココ→HBM5
つながる話題
カスタムHBM(ベースダイの特注)
製造工程(TSV・積層)
3社の競争
HBM4Eとは?先に結論
先に結論
HBM4Eとは、HBM4の次の世代の積層メモリ(高帯域幅メモリ)です。HBM4と同じ2048ビットの太い接続のまま、1本の線あたりの速さを上げて、1スタックあたりの帯域を伸ばします。
Samsungは2026年5月に、1ピン14Gbps・1スタック最大3.6TB/s・12層48GBのサンプルを出荷したと発表しました。SK hynixも6月に、1ピン最大16Gbps・12層48GBのサンプルを出荷しています。HBM4の標準(JEDEC)の上限は1ピン8Gb/s・1スタック2TB/sなので、帯域は約1.8倍になります。量産の時期は、どちらも「顧客の予定に合わせる」としています。
用語メモ:HBM
High Bandwidth Memory(高帯域幅メモリ)。DRAMのチップを縦に積み、GPUのすぐ隣に置くメモリ。AIの計算に欠かせません。
用語メモ:Gbps(1ピンあたり)
1本の信号線で1秒間に送れるデータの量(ギガビット)。HBMは線が2048本あるので、1ピンの速さ×2048÷8で、1スタックの帯域(バイト)になります。
HBM4Eは、HBM4と何が違うのか
| 比べる点 |
HBM4(JEDECの標準) |
HBM4E(各社のサンプル) |
| 接続の太さ | 2048ビット | 2048ビット(同じ) |
| 1ピンの速さ | 最大8Gb/s | 14Gbps(Samsung)、最大16Gbps(SK hynix) |
| 1スタックの帯域 | 最大2TB/s | 最大3.6TB/s(Samsung) |
| 容量(12層) | 各社の製品による | 48GB(Samsung・SK hynix) |
| 電力効率 | – | 前の世代より16%(Samsung)、20%超(SK hynix)改善 |
いちばん大きな違いは、1本の線の速さです。接続の太さ(2048ビット)はHBM4で倍になったので、HBM4Eでは太さはそのままに、線の速さを上げて帯域を伸ばします。SK hynixの16Gbpsで計算すると、1スタックの帯域は約4.1TB/s(2048×16÷8、計算値)になります。
なお、HBM4の標準の上限は1ピン8Gb/sですが、各社のHBM4の製品はすでにそれより速く動きます。標準は「最低限そろえる線」で、各社はその上で速さを競っています。HBM4Eはまだ各社が先に出している世代で、標準の中身は公表されていません。
たとえるなら
HBM4は「道路の車線を倍にした」世代、HBM4Eは「同じ車線のまま、制限速度を上げた」世代です。車線は増やさずに、1台1台の車を速く走らせて、運べる量を増やします。
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Samsung・SK hynix・Micronは、どこまで進んだか
Samsung:2026年5月にサンプル出荷
12層48GB、1ピン14Gbps(16Gbpsまで伸ばせる)、1スタック最大3.6TB/s。DRAMは1c世代、土台のベースダイはSamsung Foundryの4nm。8層32GB・16層64GBも計画しています。
SK hynix:2026年6月にサンプル出荷
12層48GB、1ピン最大16Gbps。電力効率は20%超、熱への強さはHBM4より17%改善。積み方は自社のAdvanced MR-MUFです。
Micron:2027年を目標(報道)
2025年9月の決算説明で、標準品と、ベースダイをTSMCが作る特注品の2本立てで進め、2027年を目指すと説明したと報じられています。
Samsungは「業界で初めて」のサンプル出荷、SK hynixは「予定どおり」の出荷と発表しました。どちらも量産の日付は示しておらず、顧客(GPUのメーカー)の評価と予定に合わせて量産に入るとしています。
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速くなるほど、熱と積み方が勝負になる
線を速く動かすほど、メモリは熱を出します。HBMはDRAMを何層も積むので、熱が中にこもりやすいのが弱点です。そのため各社は、HBM4Eで電力効率と熱への強さを数字で示しています。
| 会社 |
積み方 |
発表した熱・電力の改善 |
| SK hynix | Advanced MR-MUF(チップのすき間に液状の材料を流し込んで固める) | 電力効率20%超、熱への強さ17%(HBM4比) |
| Samsung | 最適化した積み方(方式の名前は発表に書かれていない) | 電力効率16%、熱抵抗14%超(前の世代比) |
層を増やすほど、1枚のチップは薄くなり、すき間の材料と熱の逃がし方が大切になります。12層から16層へ進むと、さらにこの差が効いてきます。
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HBM4EからHBM5へ:ロードマップと特注化
| 世代 |
主な変化 |
くわしい記事 |
| HBM4 | 接続を2048ビットに倍増。ベースダイにロジックの先端の製造方法 | HBM4とは |
| HBM4E | 接続はそのまま、1ピンの速さを上げる(14〜16Gbps) | この記事 |
| カスタムHBM | ベースダイを顧客ごとに特注する流れ。HBM4Eから本格化 | カスタムHBMとは |
| HBM5とその先 | さらに速く・多く積む。GPUの真上に積む構想も | zHBMとは |
HBM4Eで同時に進むのが、ベースダイ(積んだDRAMの土台になるチップ)の特注化です。Micronは特注品のベースダイをTSMCに作ってもらう計画で、GPUのメーカーが自社の回路をメモリの土台に入れられるようになります。この話はカスタムHBMの記事で詳しく説明しています。
GPUの側では、NVIDIAが2027年後半にRubin Ultraのシステムを出す計画を示しています。どの世代のHBMを使うかは、NVIDIAの公式の資料では確かめられていないので、ここでは書きません。
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Vera RubinのHBM4帯域が下がった件
NVIDIAは、次のGPU「Vera Rubin」の公式の仕様ページで、GPU 1個あたりのHBM4の帯域を22TB/sから19.2TB/sへ、NVLinkの帯域を3.6TB/sから3TB/sへ下げました。メモリの容量(288GB)は変わっていません。書き換えは2026年9月上旬で、発表はありませんでした。
帯域は、メモリとGPUをつなぐ道の「太さ×走る速さ」です。HBM4は道の本数(1スタック2048本)が決まっています。だから帯域を下げることは、走る速さ、つまり1ピンの速さを落とすことと同じ意味になります。
| 項目 |
2026年8月の公表値 |
今の公表値 |
変化 |
| HBM4の帯域(GPU 1個) | 22TB/s | 19.2TB/s | −12.7% |
| HBM4の帯域(スーパーチップ) | 44TB/s | 38.5TB/s | −12.5% |
| HBM4の帯域(ラック NVL72) | 1,580TB/s | 1,400TB/s | −11.4% |
| NVLinkの帯域(GPU 1個) | 3.6TB/s | 3TB/s | −16.7% |
| NVLinkの帯域(ラック NVL72) | 260TB/s | 216TB/s | −16.9% |
| HBM4の容量(GPU 1個) | 288GB | 288GB | 同じ |
筆者は、8月の製品ページの写しと今のページを並べて読み比べました。変わったのは帯域の行だけです。GPU 1個にHBM4が8スタック載っているとすると、1スタックは2.75TB/sから2.4TB/sへ、1ピンの速さは約10.7Gbpsから約9.4Gbpsへ下がった計算になります(8スタックはこの仕様表には書かれていないので、筆者の前提です)。
それでも、HBM4の標準の上限(1ピン8Gb/s・1スタック2TB/s)より上です。ここがHBM4Eとつながる点です。HBM4Eは、道の本数はそのままに走る速さを上げる世代で、各社のサンプルは14〜16Gbpsでした。NVIDIAが量産の製品の公表値を1ピン約10.7Gbps相当から一段下げたことは、「高い速さを、量産のすべてのチップでそろえる」ことの難しさを示しています。
下げた理由について、NVIDIAの説明は見つけられませんでした。報道では、DRAMの不足や、12層のHBM4Eの歩留まりと関係づける見方が出ています。ただし推測の段階です。HBM4Eのサンプルの速さが、量産でどこまで出るか。次に見るのは、ここです。
用語メモ:NVLink
NVIDIAのGPUどうしをつなぐ専用の線。メモリの帯域(GPUと自分のメモリの間)とは別の道です。
HBM4Eに関わる会社
メモリを作る
- SK hynix:12層HBM4Eのサンプルを出荷(2026年6月)
- Samsung:12層HBM4Eのサンプルを出荷(2026年5月)
- Micron:2027年を目標(報道)
土台と組み立て
- TSMC:ベースダイの製造(Micronの特注品など)と、GPUと並べるCoWoS
- 積層の装置:TCボンダー・モールドの装置の会社
使う側
- NVIDIA:GPUのメモリにHBMを使う最大の顧客
- AIのチップを作る会社:特注のベースダイを求める
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HBMの関連銘柄を、サプライチェーンの上流から
HBM4Eを知ると、何が見えてくるか
あなたにとっての意味
仕事で関わる方へ:メモリ・パッケージ・装置・材料の仕事では、HBM4Eの「線を速くする」流れが、熱を逃がす材料や積み方、検査の厳しさにつながります。数字の出どころ(標準か、各社の発表か)を分けて読むのがこつです。
投資家の方へ:HBM4Eは、2026年はサンプル、量産はその先です。サンプル出荷のニュースと、量産・採用のニュースは重みが違うので、分けて見ると読み違えが減ります。
学生・就活中の方へ:HBMは、DRAMの設計・積層の実装・高速な信号・熱の4つが重なる分野です。電気・材料・機械のどの学生にも入口があります。
よくある誤解
誤解1:HBM4Eは、もう量産されている
2026年10月時点で発表されているのは、Samsung・SK hynixのサンプル出荷です。量産は顧客の予定に合わせるとしています。
誤解2:HBM4Eは、接続がさらに倍になる
接続の太さは2048ビットのままで、1本の線の速さを上げる世代です。
誤解3:HBM4Eの性能は、JEDECの標準で決まっている
HBM4Eは各社が先に出している世代で、数字は各社の発表です。
まとめ
- HBM4Eは、HBM4の次の世代の積層メモリ
- 接続は2048ビットのまま、1ピンの速さを14〜16Gbpsに上げる
- Samsungの12層48GBは1スタック最大3.6TB/s(HBM4の標準の上限2TB/sの約1.8倍。両者の発表からの計算)
- Samsungは2026年5月、SK hynixは6月にサンプルを出荷。量産は顧客の予定しだい
- 同時にベースダイの特注化が進み、その先にHBM5とGPUの真上に積む構想がある
よくある質問
Q. HBM4Eとは何ですか?
A. HBM4の次の世代の積層メモリです。接続の太さは同じまま、1本の線の速さを上げて帯域を伸ばします。
Q. HBM4とHBM4Eの違いは?
A. 1ピンの速さです。HBM4の標準の上限は8Gb/sで、各社のHBM4Eのサンプルは14〜16Gbpsです。
Q. HBM4Eはいつ量産されますか?
A. Samsung・SK hynixは2026年にサンプルを出荷しましたが、量産の日付は示していません。顧客の予定に合わせるとしています。
Q. HBM4Eの容量はどれくらいですか?
A. Samsung・SK hynixが出荷したサンプルは12層で48GBです。Samsungは8層32GB・16層64GBも計画しています。
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