SKハイニックスの日本のサプライヤー(SK hynix に装置や材料を納める会社)のうち、会社の発表で関係が確かめられるのは、SK hynix から協力会社の賞を受けたと公表したアルバック・JX金属・KOKUSAI ELECTRIC の3社です。
ネット上の「SKハイニックス関連銘柄」の一覧には、根拠がはっきりしない会社も混ざっています。この記事では、SK hynix と日本企業の発表、日本の装置・材料10社の有価証券報告書を読み、関係を確かめられる会社と、確かめられない会社を分けました。
先に読みたい節 表彰された日本企業/有価証券報告書にSK hynixは出てくるか/関連銘柄を見るときの注意
この企業の立ち位置:AIインフラ > メモリ・HBM > SK hynixの日本のサプライヤー
サプライチェーン(上流から下流へ)
材料・装置(日本企業) ←ココ→メモリの工場(SK hynix)→HBM・DRAM→GPU・AIサーバー→データセンター
関わる技術
スパッタリング
成膜
HBM
一言でいうと:SK hynixの工場に装置・材料を届ける側の日本企業を、公表された範囲で並べる
SKハイニックスの日本のサプライヤーは?
先に結論
SKハイニックスの日本のサプライヤーとして、会社の発表で関係が確かめられるのは、アルバック(6728)・JX金属(5016)・KOKUSAI ELECTRIC(6525)の3社です。3社とも、SK hynixから協力会社の賞「Best Partner Award」を受けたと発表しています。アルバックはスパッタリング装置「ENTRON」がSK hynixの製造工程で正式に採用されたこと、JX金属はHBMの配線の材料に使われるスパッタリングターゲットの供給を挙げています。
SK hynix自身は、2026年7月の米国上場の目論見書で、ウェーハを含む原材料の多くを韓国・日本・米国の供給元から調達し、高性能な装置はオランダ・米国・日本の限られたメーカーに頼っていると書いています。ただし、会社の名前は挙げていません。
日本の装置・材料10社の最新の有価証券報告書を見ると、売上の10%以上を占める顧客にSK hynixの名前はありませんでした。名前が出るのはSamsung・TSMC・NVIDIAなどです。
用語メモ:Best Partner Award
SK hynixが、開発・製造に大きく貢献した協力会社に贈る賞。受賞した会社の発表で、SK hynixとの取引があることを確かめられます。
SK hynixは調達をどう説明しているか
SK hynixは2026年7月、米国のNasdaqにADR(預託証券)を上場しました。そのときの目論見書の「リスク要因」に、調達についての説明があります。
| 調達するもの |
目論見書の説明(要旨) |
| 原材料(ウェーハを含む) | 多くを韓国・日本・米国の供給元から調達。1社に大きく頼ってはおらず、主な原材料には代わりの調達先があると考えている |
| 高性能な装置 | オランダ・米国・日本の限られたメーカーに頼っている。需要が強い時期は、注文から納入まで1年を超えることがある |
| 先端パッケージの材料・部品 | 従来のメモリより、供給元が限られることがある |
目論見書は、日本を「原材料」と「装置」の両方の調達先として名指ししています。一方で、どの日本企業から何を買っているか、日本からの調達がどれくらいの割合かは書いていません。会社名との対応は、日本企業の側の発表で確かめるしかありません。
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SK hynixから表彰された日本企業
| 会社(コード) |
発表した日 |
公表した内容 |
| アルバック(6728) | 2025年11月21日 | 2025年9月29日の「2025 Partners Day」でBest Partner Award。スパッタリング装置「ENTRON」がSK hynixの製造工程でPOR(正式採用)を獲得 |
| JX金属(5016) | 2025年9月30日 | Best Partner Award。メモリ用のスパッタリングターゲットの安定供給。ターゲットはHBMの配線材料に使われる |
| KOKUSAI ELECTRIC(6525) | 2024年12月18日 | Best Partner Awardで「優秀協力会社」。約90社の協力会社が参加 |
用語メモ:スパッタリング
金属の板(ターゲット)に粒をぶつけて、はじき出された原子をウェーハに積もらせ、薄い膜を作る方法。チップの配線の膜を作るのに使います。
アルバックは装置を、JX金属はその装置で使う材料(ターゲット)を作る会社です。同じスパッタリングの工程で、装置と材料の両方に日本企業が入っていることになります。KOKUSAI ELECTRICは成膜などの装置の会社ですが、発表では受賞の対象の製品を挙げていません。
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有価証券報告書にSK hynixは出てくるか
日本の上場会社は、売上の10%以上を占める顧客があると、有価証券報告書に名前と金額を書きます。半導体の装置・材料の10社の最新の報告書で、その欄を確かめました。
| 会社(決算期) |
売上の10%以上の顧客 |
| 東京エレクトロン(2026年3月期) | Samsung Electronics、TSMC |
| アドバンテスト(2026年3月期) | NVIDIAグループ、TSMC |
| レーザーテック(2026年6月期) | TSMC、Intel、Samsung Electronics |
| KOKUSAI ELECTRIC(2026年3月期) | Samsung Electronics、TSMC |
| 日本マイクロニクス(2025年12月期) | Samsung Electronics、Micron Memory Taiwan |
| ディスコ(2026年3月期) | TSMC |
| フェローテック(2026年3月期) | Lam Research |
| 東京応化工業(2025年12月期) | TSMC |
| 東京精密(2026年3月期) | 10%以上の顧客なし |
| アルバック(2026年6月期) | 10%以上の顧客なし |
10社とも、SK hynixの名前は出てきませんでした。これは「取引がない」という意味ではありません。KOKUSAI ELECTRICやアルバックのように、SK hynixから表彰された会社でも、売上の10%に届かなければ名前は出ません。SK hynixは、多くの日本企業から少しずつ買っているか、1社あたりの金額が売上の1割に届かない、ということまでしか読み取れません。
注意:名前が出る基準は「売上の10%以上」です。金額の小さい取引は、どの会社の報告書にも出てきません。
キオクシアとSK hynixの関係
日本の会社とSK hynixの関係で、取引とは別の形のものがあります。SK hynixはキオクシアの株を持っていて(持ち分)、目論見書では、キオクシアの株の値上がりを金融収益の評価益に、キオクシアからの配当を配当収入に計上したと書いています。
取引の関係
アルバック・JX金属・KOKUSAI ELECTRICのように、SK hynixに装置や材料を納める関係です。
持ち分の関係
SK hynixがキオクシアの株を持つ関係です。キオクシアはSK hynixのサプライヤーではなく、NANDメモリで競う会社でもあります。
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SKハイニックスの関連銘柄を見るときの注意
1. 「公表された関係」と「推測」を分ける
会社の発表や目論見書で確かめられる関係と、業界の構造から「たぶん使っている」と推測した関係は、別物として扱います。
2. SK hynix向けは売上の一部
ここで挙げた会社は、Samsung・TSMC・NVIDIAなど多くの顧客を持っています。SK hynixの業績だけで会社の業績は決まりません。
3. 受賞は取引の証拠だが、金額はわからない
賞を受けたことは取引がある証拠ですが、どれだけ売っているかは公表されていません。
4. 工程の会社と、顧客の会社は違う
HBMの工程で日本企業が強い所はありますが、その装置がSK hynix向けかどうかは、多くの場合公表されていません。
HBMの工程ごとに日本企業がどこにいるかは、関連銘柄のまとめの記事で整理しています。工程の地図と、この記事の「公表された関係」を重ねて読むと、根拠の強さを分けて見られます。
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仕事で関わる方へ:装置・材料の営業や技術の仕事では、「どの顧客が、どの工程で何を正式採用したか」が大事な情報です。PORの獲得や協力会社の表彰は、会社が公表できる範囲の取引の証拠になります。
投資家の方へ:「SK hynix関連」とひとまとめにされる銘柄でも、関係を公表している会社と、推測で並べられた会社があります。有価証券報告書の大口顧客の欄は、どの顧客に頼っているかを確かめる一次情報です。
学生・就活中の方へ:スパッタリングの装置と材料のように、1つの工程に装置の会社と材料の会社がいます。半導体の会社に入らなくても、メモリの工場を支える仕事があることがわかります。
よくある誤解
誤解1:SK hynixは日本企業から何を買っているか公表している
目論見書は、原材料と装置の調達先の国として日本を挙げていますが、会社の名前は書いていません。
誤解2:有価証券報告書に名前がない会社は、SK hynixと取引していない
名前が出るのは売上の10%以上の顧客だけです。表彰された会社でも、名前が出ていないことがあります。
誤解3:キオクシアはSK hynixのサプライヤー
SK hynixはキオクシアの株を持っていますが、それは持ち分の関係で、装置や材料を納める関係ではありません。
まとめ
- SK hynixとの関係を会社の発表で確かめられる日本企業は、アルバック・JX金属・KOKUSAI ELECTRIC
- アルバックはスパッタリング装置が正式採用、JX金属はHBMの配線用のターゲットを供給
- SK hynixは、原材料を韓国・日本・米国から、装置をオランダ・米国・日本の限られたメーカーから調達と説明
- 日本の装置・材料10社の有価証券報告書に、10%以上の顧客としてSK hynixの名前はない
- 関連銘柄は「公表された関係」と「推測」を分けて見る
よくある質問
Q. SKハイニックスの日本のサプライヤーはどこですか?
A. 会社の発表で関係を確かめられるのは、SK hynixから表彰されたアルバック、JX金属、KOKUSAI ELECTRICです。
Q. SKハイニックスの日本の関連銘柄は?
A. SK hynixとの取引を公表しているのは、アルバック(6728)・JX金属(5016)・KOKUSAI ELECTRIC(6525)です。
Q. SK hynixは日本からどれくらい調達していますか?
A. 目論見書は、日本を原材料と装置の調達先の国として挙げていますが、金額や割合は公表していません。
Q. 有価証券報告書でSK hynixとの取引はわかりますか?
A. 売上の10%以上の顧客だけが載るため、主な装置・材料の会社の報告書には、SK hynixの名前は出てきませんでした。
免責事項:本記事はSK hynixと日本の装置・材料の会社の関係の構造を理解するための情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。業績などの数値は2026年10月19日時点の公開情報に基づき、将来の成果を保証しません。投資判断は、ご自身の責任と最新の一次情報(IR・有価証券報告書など)に基づいて行ってください。
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